2025年度 企業向け Bio-SPM技術共同研究課題募集のお知らせ ―世界最高性能のBio-SPM技術を産業界に活かす―
金沢大学ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)は、ナノ生命科学の発展を目指し、企業を対象に、WPI-NanoLSIが持つ独創的なバイオ-走査型プローブ顕微鏡(Bio-SPM、※1)技術を活用した共同研究課題の募集を開始します。
Bio-SPMは、ナノスケール(1ナノメートル=10億分の1メートル)で生体試料を観察できる高解像度顕微鏡技術です。これは、主に生体試料(バイオ試料)に特化した技術で、細胞や分子レベルの詳細な構造を観察することができます。今回の共同研究では、観察対象をバイオ試料に限らず、有機高分子、固液界面など幅広い範囲を対象とします。
企業が持つ技術やアイデアと、WPI-NanoLSIの世界最先端のBio-SPMが融合することで、他の計測技術では解明できなかったナノメートルレベルの現象を、動画として捉えることができるかもしれません。
本共同研究では、原子分解能/3D-AFM(FM-AFM)(※2)、高速AFM、走査型イオン伝導顕微鏡(SICM)、細胞測定AFMといった独創的なBio-SPM技術を産業界に応用することを目的としています。企業の研究者・技術者とWPI-NanoLSIの研究者が共同で進める形で実施されます。
ついては、本共同研究課題募集の積極的な周知と報道にご協力をよろしくお願いします。
※1 Bio-SPMの種類とその詳細は、以下のリンク先の「各Bio-SPM技術の概要」をご参照下さい。
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/research/applications/bio-spm/
※2 AFMとは、Atomic Force Microscopeの略で、原子間力顕微鏡のこと。
【本件に関するお問い合わせ先】
金沢大学 ナノ生命科学研究所 国岡
TEL:076-234-4574
E-mail:nanolsi_openf01[at]adm.kanazawa-u.ac.jp
※ [at] を @ に置き換えて下さい。
Bio-SPM技術共同研究課題募集の詳細
・応募方法:詳細は下記をご覧ください
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/research/applications/bio-spm/
※お申込みの際は、WPI-NanoLSIの共同研究者をご指定いただくこともできますし、提案された研究テーマに相応しい共同研究相手をマッチングさせていただくこともできます。
・応募期限:令和7年11月28日まで随時受け付け
・採択件数:若干数
・選考について:応募課題の選考にあたっては、ご提案内容とWPI-NanoLSIのBio-SPM技術との適合性を重視した審査を行い、決定します。なお、応募多数の場合は、お断りさせていただくことがあります。採否を申請者(代表者)に受付から概ね1ヵ月後までに通知する予定です。
Bio-SPMについて
WPI-NanoLSIは、80名を超える研究者と約60台のBio-SPM装置を擁し、Bio-SPM技術の開発、応用研究を進めています。最近では、微小管(マイクロチューブル)の管の内側の詳細な構造(※1)、脳・神経の信号伝達を担うグルタミン酸受容体分子の動き(※2)、インフルエンザウィルスのゲノム合成過程(※3)、 天然変性タンパクの動的構造(※4)、生きた細胞内部(※5)をナノメートルレベルで動画撮影するなど、多くの成果を上げています。WPI-NanoLSIのWebサイト「Research Highlights」(https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/research/research-highlights/)にも多数研究成果を掲載しています。ご覧ください。
―参考文献―
※1 :Yurtsever, et. al., Nano Lett. 2025, 25, 1, 98–105,
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/highlights/32415/
※2 :Sumino, et. al., ACS Nano. 2024, 18, 36, 25018–25035,
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/highlights/31555/
※3 :Carlero, et. al., ACS Nano 2024, 18, 30, 19518–19527,
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/highlights/31430/
※4 : Kodera, et. al., Nat. Nanotech., 2021, 16, 181–189,
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/highlights/14160/
※5 :Penedo, et. al., Sci Adv, 2021, 7, eabj4990,
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/highlights/22239/