福間剛士教授が文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門)を受賞
金沢大学ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)所長の福間剛士(ふくまたけし)教授が,令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞しました。
この賞は,我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は発明を行った個人又はグループに贈られるもので,福間教授は「高速3次元原子分解能顕微鏡技術による液中ナノ科学研究」が評価されました。
[業績名] 高速3次元原子分解能顕微鏡技術による液中ナノ科学研究
原子間力顕微鏡(AFM)は,液中で絶縁体の原子分解能観察が可能な現在唯一の技術ですが,その速度や機能が及ばず,未だナノスケールでは観ることのできない構造や現象が,生命科学,界面科学,電気化学などの液中科学分野には数多く残されており,その発展を妨げてきました。
本研究では,液中原子分解能 AFM を約 50 倍高速化し,1 秒/像での高速原子像観察を実現しました。また,動作を 3 次元へと拡張し,様々な 3 次元自己組織化構造のナノスケール内部観察を実現しました。さらに,電位計測機能を改良し,液中でのナノスケール電位分布計測を実現しました。
本研究により,鉱物結晶の成長・溶解過程の高速原子分解能観察や,水和構造,高分子膨潤構造,生細胞内部構造の 3 次元観察,腐食・触媒反応分布のナノスケールその場観察などが実現され,これらの構造や現象の起源に関するナノレベルでの理解が大きく進展しました。
本成果は,結晶成長,溶解が関わる光学製品,薬剤,洗剤の改良や,界面制御が関わる防汚,潤滑,分散,親水化技術の高度化,細胞内現象が関わる疾患の治療・診断技術の進展,腐食,触媒,電池,センサに関する技術の発展などに寄与することが期待されます。
関連情報:
令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等を決定しました:文部科学省 (mext.go.jp)
【研究者情報】福間 剛士