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掲載日:2022.04.11 ニュース

戸田 聡助教 (Jr.PI)、酒田 陽子准教授が文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞

NanoLSIの戸田 聡(とだ さとし)助教 (Jr.PI)、および理工研究域物質化学系/NanoLSIの酒田 陽子(さかた ようこ)准教授が、令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました。

この賞は,萌芽的な研究,独創的視点に立った研究等,高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者に贈られるもので、両名は以下の業績おいて評価されました。

戸田 聡 ナノ生命科学研究所 助教 (Jr.PI)

[業績名] 多細胞パターンのデザインを可能にする合成生物学研究

発生生物学研究の発展により,発生時に作用する遺伝子や個々の細胞のふるまいが明らかにされてきました。一方,これらの要素が絡み合う生体内の細胞間相互作用は非常に複雑で,細胞がどのように相互作用すれば複雑な組織構造を形成できるのかは未だによくわかっていません。
戸田助教は,細胞間相互作用を規定する分子群を培養細胞に導入して,培養皿上で様々な多細胞構造やパターンを形成する技術を開発しました。細胞が互いの接着の強さを制御することで,細胞を自発的に配列させる手法や,蛍光分子GFP の分泌と受容による細胞間シグナル伝達モデルを樹立して,細胞集団が自らパターンを形成し,制御する仕組みの一端を明らかにしました。
本研究成果は,細胞の挙動を操作して組織構造や機能をデザインする組織工学や,体内の必要な場所へ細胞を送り込む細胞医薬開発への応用につながると期待されます。

酒田 陽子 理工研究域物質化学系​/ナノ生命科学研究所 准教授

[業績名] 速度論的制御を鍵とした機能性超分子錯体の創製に関する研究

超分子化学分野において,非共有結合性相互作用を利用した分子認識や自己集合構造の構築の研究は主として熱力学的制御に基づいており,速度論的制御に関する研究は限られていました。
酒田准教授は,速度論的制御に基づいてゲストを交換可能な,キャップ導入型のホスト・ゲストシステムの創製を行いました。また,超分子ホストの構造変化を伴う分子認識機構の速度論的解析手法を確立しました。さらに,特異な相互作用を利用したテンプレート自己集合により,準安定なベルト状自己集合型金属錯体の選択的構築にも成功しました。
本研究成果は,分子の取り込みや放出を望みのタイミングで実現する薬剤の徐放や有害物質の吸着剤開発への重要な指針を与えるほか,分子メモリー,蓄熱材料といった準安定構造を鍵とする材料創製に寄与すると期待されます。

 

関連情報:
令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について