金沢大学 ナノ生命科学研究所

入るのが先か,変形が先か? ゲスト認識と化学反応が同時に起こるときのメカニズムの切り替えに初めて成功!

『Journal of the American Chemical Society』Supplementary Cover

金沢大学ナノ生命科学研究所の秋根茂久教授,同理工研究域物質化学系の酒田陽子准教授らは,化学反応とほぼ同時に金属イオンを捕まえる(認識する)ホスト分子において,認識と反応のどちらが先に起こるかを切り替えることに初めて成功しました。

特定の分子やイオンを捕まえることができる分子はホストと呼ばれ,捕まえられる分子やイオンはゲストと呼ばれます。対象とするゲストの形を識別して捕まえるので,この現象は分子認識あるいはイオン認識として知られています。多くの場合は,風呂敷で物品を包むとき,その形状に合わせて形が変わるのと同じように,ゲストを捕まえるときにホストの構造はゲストに合わせて変化します。他方,折り畳み式段ボールが広げた後でないと物品を入れられないように,ホストが変形してからゲストを捕まえる例もあるはずです。しかし,ホストが変形するのはゲストを捕まえる前なのか後なのか,ということについてはこれまでにほとんど明らかにされてきませんでした。

今回,本研究グループは,独自に開発したコバルト原子を含む環状の化合物「コバルト二核メタロホスト」を用いて,ホストが起こす化学反応とゲスト認識の順番を切り替えることに初めて成功しました。ゲストがナトリウムイオンの場合は,認識が起こった後でコバルト上での反応が起こるのに対し,ゲストがカリウムイオンやルビジウムイオンの場合には,反応の後でゲスト認識が起こることが分かりました。捕捉が先か,変形が先かをゲストの種類によって切り替えられたことになります。

本研究成果は,有害物質の除去や,望みの場所に薬剤を送達する技術の開発のための重要な指針となるとともに,特定の物質を検知して動き出す分子機械の部品としての活用も期待されます。

本研究成果は,2019年9月2日(米国東部標準時間)にアメリカ化学会誌『Journal of the American Chemical Society』のオンライン版に掲載されました。また,2019年10月2日発行の本誌の表紙(Supplementary Cover)に採用されています。

 

図1. ホスト分子によるゲスト認識の際の二つのパターンのイメージ図

 

図2. 本研究で開発したコバルト二核メタロホスト
二つのコバルト(Co)上に,ピペリジン(pip)を持つ。

 

図3. コバルト二核メタロホストのナトリウムイオンの取り込み挙動(右上)と,カリウムイオンおよびルビジウムイオンの取り込み挙動(左下)

 

Article

Title: Switching of Recognition First and Reaction First Mechanisms in Host–Guest Binding Associated with Chemical Reactions

Journal: Journal of the American Chemical Society

Authors: Yoko Sakata, Munehiro Tamiya, Masahiro Okada and Shigehisa Akine

DOI:10.1021/jacs.9b06926

 

Funder

This work was supported in part by JSPS KAKENHI (Grant Numbers JP16H06510 (Coordination Asymmetry), JP26288022, and JP18H03913), Hokuriku Bank Foundation, The Kyoto Technoscience Center, Kanazawa University CHOZEN Project, and the World Premier International Research Initiative (WPI), MEXT, Japan.

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