金沢大学 ナノ生命科学研究所

時間遅れゼロの超高速振幅計測法の開発に成功~高速AFMのさらなる高速化・低侵襲化に期待~

概要

金沢大学ナノ生命科学研究所の梅田健一特任助教、安藤敏夫特任教授、古寺哲幸教授の研究グループは、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)(※1)を構成する主要デバイスである振幅計測器が持つ時間遅れが原理的にゼロとなる新しい計測法を開発することに成功しました。これにより、高速AFMの観察速度のさらなる高速化と試料への低侵襲化につながることを実証しました。

本研究成果は2021年11月1日(米国東部時間)に米国物理学協会誌『Applied Physics Letters』のオンライン版に掲載されました。

 

図1 振幅計測法の計算のダイアグラム。入力信号であるAsinωctから、Aを得る場合、三角関数の定理を使って、(Asinωct)2 + (Acosωct)2 = A2(sin2ωct + cos2ωct) = A2を計算し、A2の平方根を計算すればよいことが分かる。これまでAsinωctからAcosωctを得る演算には、時間遅れが生じる移相演算(PSB法)が採用されていた(青色)。今回、その演算に微分(DB法)を用いることで、時間遅れを原理的にゼロにできることが分かった(赤色)。さらに、平方根演算を省略することで、計測器の高速化と試料への低侵襲性が実現できることが分かった。

 

図2 従来型の振幅計測器を使った場合(左)と、新規に開発した微分型を使った場合(右)の、アクチンフィラメント(タンパク質の複合体)のイメージング。従来型だと1秒程度でフィラメントの破壊が見られたが、新型だと30秒以上にわたって非破壊で観察することができた。

用語解説

※1 高速原子間力顕微鏡(高速AFM)
カンチレバーと呼ばれる柔らかい板バネの先に付いた探針で、試料表面を高速になぞることで試料表面の形状を動画で撮影することができる顕微鏡。探針がナノメートルレベルで先鋭な場合、試料の形状をナノメートルレベルで可視化できる。

掲載論文

タイトル:Architecture of zero-latency ultrafast amplitude detector for high-speed atomic force microscopy
(高速AFMのための時間遅れゼロの超高速振幅計測法)

著  者:Kenichi Umeda, Chihiro Okamoto, Masahiro Shimizu, Shinji Watanabe, Toshio Ando and Noriyuki Kodera
(梅田健一, 岡本千優, 清水将裕, 渡辺信嗣, 安藤敏夫, 古寺哲幸)

掲 載 誌:Applied Physics Letters

DOI:10.1063/5.0067224

Funder

本研究成果は、科学技術振興機構(PRESTO、CREST)、および日本学術振興会科学研究費助成事業(若手研究、基盤研究(A)、基盤研究(S)、新学術領域研究(研究領域提案型))の支援を受けて実施されました。

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