金沢大学 ナノ生命科学研究所

上皮細胞の脱離の力学的な仕組みが明らかに

金沢大学ナノ生命科学研究所の奥田覚准教授,大阪大学大学院理学研究科の藤本仰一准教授の共同研究グループは,上皮細胞脱離の力学理論の構築に成功しました。

上皮組織は,多数の細胞が密に並んだシート状の組織であり,シート内の各細胞は,細胞死や,がんの浸潤過程においてシート外へと脱離します。この細胞脱離の仕組みの理解は,胚発生・組織再生・がん疾患などの幅広い現象の解明に重要な課題です。しかし,既存の研究は,分子生物学的な理解に限られており,力学的な過程を含む包括的な理解には至っていませんでした。

本研究では,上皮組織のシート構造を簡単化して捉え,力学エネルギーに基づいた理論的な解析を行うことにより,上皮組織に内在する力学的な不安定性が細胞脱離を引き起こす仕組みを明らかにしました。

これらの知見は,神経細胞の多層化を伴う脳発生や,細胞剥離を伴うがん浸潤の理解に活用されることが期待されます。

本研究成果は,2020年5月19日に米国生物物理学会誌『Biophysical Journal』に掲載されました。

 


図1 細胞の状態に関するエネルギーランドスケープ
遺伝子発現に由来する細胞の物理パラメータの変化により,上皮組織に内在する力学不安定性が表出し,細胞脱離が引き起こされる。

 

Article

Journal:Biophysical Journal

Title:A Mechanical Instability in Planar Epithelial Monolayers Leads to Cell Extrusion
(上皮組織の力学不安定性が細胞脱離を引き起こす)

Authors:Satoru Okuda, Koichi Fujimoto
(奥田覚,藤本仰一)

DOI10.1016/j.bpj.2020.03.028

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